2005年07月24日
ラブ・フォーティ 第18話 〜トラブル〜
(最初からお読みになりたい方はこちら→【ラブ・フォーティ 第1話】 )
第17話より続く
翌朝、新田は木島課長に別室に呼びだされた。
早川久美の件だった。昨夕、早川が営業部長の神岡に、新田のことを直訴したらしい。すぐさま神岡は木島を呼びつけ、課の監督不行き届きを厳しく叱責したらしい。
木島は、きのう新田に向けた怒気をふたたび顔によみがえらせて言った。
「きのうは外出したまま連絡はないし、君はいったいどうなってるんだ? 近ごろの君はちょっとおかしいんじゃないのかね?」
「“近ごろ”と申しますと、いつのことでしょうか?」
新田は腹をくくって言葉を発した。きのうの夜、藤永と話しているうちに心に決めていたのだった。普段の温厚な新田はそこにはいなかった。不意を突かれ、木島の目がひるんだ。
「“近ごろ”と言うのは……、きのうのことじゃないか」
「“近ごろ”と言うかぎりは、そういうことが何度かあったはずです。ほかには、いつ私はおかしかったのでしょうか?」
「“いつ”って……。そんなこと、どうでもいいだろう。問題はそのことじゃない」
「いいえ、問題はまずそれです。いつ私はおかしかったですか?」
新田は強硬だった。
沈黙がさした。
木島の目が泳いだ。
「いや……、ま……、早川君の話によると……」
「ちょっと待ってください。今回のトラブルは、そもそも早川ひとりがわめきちらしていることじゃないですか。その早川の言ってることばかりを鵜呑みにして私を糾弾するのはおかしいんじゃないですか?」
「新田君、まあそうトゲトゲしくなるなよ」
「もう一度お尋ねします。課長の目から見て、私はいつおかしかったですか?」
「いや、僕個人はそうは思っていないんだがね……」
「そうですか。……ところで、課長はきのう早川とお話しになったんですか?」
木島が禿げ頭に手をやり、窮した笑いを浮かべた。
「それなんだけどね、用があるとか言って、きのうは定時で帰ってしまったので話す時間を持てなかったんだよ。困ったもんだよ。自分が火を放っておいて、さっさと帰ってしまうんだから」
「それで、けさは彼女はどうしたんですか?」
「緊急の用ができたので午前中は休ませてもらうと電話があったらしい。ちょうど私は席を外していて、詳しいことはわからないんだが……」
「“緊急”?」新田は眉をしかめた。「“緊急”とは、またずいぶん身勝手なことを言うじゃありませんか。そのような新人と、長年勤めている私の、どちらの言うことが信じられますか、課長?」
木島は苦りきった顔をして天井を仰いだ。
と、そのときノックもなしに打ち合わせ室の扉が開いた。
神岡営業部長が息を荒らげて立っていた。
「おい、君たちはいったい何をしでかしてくれたんだね?」
続き(第19話)を読む
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第17話より続く
翌朝、新田は木島課長に別室に呼びだされた。
早川久美の件だった。昨夕、早川が営業部長の神岡に、新田のことを直訴したらしい。すぐさま神岡は木島を呼びつけ、課の監督不行き届きを厳しく叱責したらしい。
木島は、きのう新田に向けた怒気をふたたび顔によみがえらせて言った。
「きのうは外出したまま連絡はないし、君はいったいどうなってるんだ? 近ごろの君はちょっとおかしいんじゃないのかね?」
「“近ごろ”と申しますと、いつのことでしょうか?」
新田は腹をくくって言葉を発した。きのうの夜、藤永と話しているうちに心に決めていたのだった。普段の温厚な新田はそこにはいなかった。不意を突かれ、木島の目がひるんだ。
「“近ごろ”と言うのは……、きのうのことじゃないか」
「“近ごろ”と言うかぎりは、そういうことが何度かあったはずです。ほかには、いつ私はおかしかったのでしょうか?」
「“いつ”って……。そんなこと、どうでもいいだろう。問題はそのことじゃない」
「いいえ、問題はまずそれです。いつ私はおかしかったですか?」
新田は強硬だった。
沈黙がさした。
木島の目が泳いだ。
「いや……、ま……、早川君の話によると……」
「ちょっと待ってください。今回のトラブルは、そもそも早川ひとりがわめきちらしていることじゃないですか。その早川の言ってることばかりを鵜呑みにして私を糾弾するのはおかしいんじゃないですか?」
「新田君、まあそうトゲトゲしくなるなよ」
「もう一度お尋ねします。課長の目から見て、私はいつおかしかったですか?」
「いや、僕個人はそうは思っていないんだがね……」
「そうですか。……ところで、課長はきのう早川とお話しになったんですか?」
木島が禿げ頭に手をやり、窮した笑いを浮かべた。
「それなんだけどね、用があるとか言って、きのうは定時で帰ってしまったので話す時間を持てなかったんだよ。困ったもんだよ。自分が火を放っておいて、さっさと帰ってしまうんだから」
「それで、けさは彼女はどうしたんですか?」
「緊急の用ができたので午前中は休ませてもらうと電話があったらしい。ちょうど私は席を外していて、詳しいことはわからないんだが……」
「“緊急”?」新田は眉をしかめた。「“緊急”とは、またずいぶん身勝手なことを言うじゃありませんか。そのような新人と、長年勤めている私の、どちらの言うことが信じられますか、課長?」
木島は苦りきった顔をして天井を仰いだ。
と、そのときノックもなしに打ち合わせ室の扉が開いた。
神岡営業部長が息を荒らげて立っていた。
「おい、君たちはいったい何をしでかしてくれたんだね?」
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Posted by love40 at 15:37
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