2005年07月24日
ラブ・フォーティ 第24話 〜ライバル〜
(最初からお読みになりたい方はこちら→【ラブ・フォーティ 第1話】 )
第23話より続く
ふたりのやりとりをじっと聞いていた春日専務が、神岡営業部長に向かって口を開いた。
「新田君は、それほど問題の多い人物なのかね?」
「とんでもありません。若いときから仕事熱心で、人望も厚いからこそ、先ほどの話に出てきた宴会の司会なども指名された経緯があります。勤続18年のベテランです。現在の営業3課課長補佐というポジションも、彼の実力からすればいささか不遇だという意見もあります。早川君の訴えにしても、体に触ったというのは、おそらく肩をぽんと叩いた程度のことでしょうし……。宴会の件にいたっては、ほとんどの社員が彼のパフォーマンスを楽しみにしていることですから……」
「社員旅行のときのテニスというのは、いったい何かね?」
「初耳です。調べておきます」
「新田君の上は?」
「木島課長です」
「木島君か……。新田君のほうが実力は上ではないのか?」
「はあ。しかし、一概には……。当社の査定システムに沿った判断ですので……」
神岡の曇った顔を見て、春日はふくよかな笑い声を上げた。
「神岡君、僕は営業部長の君を責めているわけではないよ。人事は、決裁する我々全員の責任だ。ところで新田君はいくつになるんだ?」
「40歳になります」
「40か。同期は?」
「営業部では、1課の安斎課長です」
神岡の言葉に、春日の表情がうごめいた。
「なるほど、安斎君か。そうか、思い出した。安斎君と新田君といえば、若いころはライバルと言われた間柄ではなかったか?」
「はい。ふたりともなかなか優秀で……」
「そうだったな、それが、どうして……」
言いながら春日は腕を組み、眉間の皺とともに目をつぶった。ぼそりと言った。
「会社というのは、むずかしいものだ」
春日はまぶたを跳ね開けると、園田弁護士を見た。
「ああ園田さん、失礼いたしました。つい私情にふけってしまって」
「いえ、とんでもない。新田さんという方を知るうえで、たいへん貴重なお話をうかがいました。私も仕事柄いろんな方に接しますが、大きく分けて2種類の人間がいるようです。ひとつはトラブルを作る人間、もうひとつはトラブルに巻きこまれる人間。新田さんはどうも後者のようですね」
続き(第25話)を読む
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第23話より続く
ふたりのやりとりをじっと聞いていた春日専務が、神岡営業部長に向かって口を開いた。
「新田君は、それほど問題の多い人物なのかね?」
「とんでもありません。若いときから仕事熱心で、人望も厚いからこそ、先ほどの話に出てきた宴会の司会なども指名された経緯があります。勤続18年のベテランです。現在の営業3課課長補佐というポジションも、彼の実力からすればいささか不遇だという意見もあります。早川君の訴えにしても、体に触ったというのは、おそらく肩をぽんと叩いた程度のことでしょうし……。宴会の件にいたっては、ほとんどの社員が彼のパフォーマンスを楽しみにしていることですから……」
「社員旅行のときのテニスというのは、いったい何かね?」
「初耳です。調べておきます」
「新田君の上は?」
「木島課長です」
「木島君か……。新田君のほうが実力は上ではないのか?」
「はあ。しかし、一概には……。当社の査定システムに沿った判断ですので……」
神岡の曇った顔を見て、春日はふくよかな笑い声を上げた。
「神岡君、僕は営業部長の君を責めているわけではないよ。人事は、決裁する我々全員の責任だ。ところで新田君はいくつになるんだ?」
「40歳になります」
「40か。同期は?」
「営業部では、1課の安斎課長です」
神岡の言葉に、春日の表情がうごめいた。
「なるほど、安斎君か。そうか、思い出した。安斎君と新田君といえば、若いころはライバルと言われた間柄ではなかったか?」
「はい。ふたりともなかなか優秀で……」
「そうだったな、それが、どうして……」
言いながら春日は腕を組み、眉間の皺とともに目をつぶった。ぼそりと言った。
「会社というのは、むずかしいものだ」
春日はまぶたを跳ね開けると、園田弁護士を見た。
「ああ園田さん、失礼いたしました。つい私情にふけってしまって」
「いえ、とんでもない。新田さんという方を知るうえで、たいへん貴重なお話をうかがいました。私も仕事柄いろんな方に接しますが、大きく分けて2種類の人間がいるようです。ひとつはトラブルを作る人間、もうひとつはトラブルに巻きこまれる人間。新田さんはどうも後者のようですね」
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Posted by love40 at 15:48
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