2005年07月25日
「酒と泪と男と会社」drink6:まかそ
日本には、「中小企業」の中でもとくに小規模な「零細企業」と呼ばれている企業群がある。中小企業基本法の定義では、従業員数5人以下の企業を指すらしい(商業およびサービス業の場合)。
「まかそオヤジ」の混入率は、その零細企業規模でも充分に可能性がある。つまり5人程度で宴会しても、「まかそ」はかなり高い確率で出現すると考えていい。
おっと、これはたいへん失礼した。あなたには「まかそオヤジ」が何であるかをご説明していなかった。ひょっとすると、あなたがソレである場合もあるので、ぜひ知っておいていただこう。
会社にはさまざまなセレモニーがある。歓迎会・送別会といった不定期なものから、新年会、暑気払い、忘年会などの定期的なもの、さらにはお花見、社員旅行、運動会など準定期的なものまで、各社各様である。そのどれもが宴会と深くかかわり合っている。「まかそオヤジ」はそこに出現する。
いわゆる宴たけなわとなるころ「まかそオヤジ」の動きもピークに達する。彼の使命は、宴会も佳境だというのにマジ顔で仕事の話をしている不粋な連中をいかに素早く駆除するか、ということにある。したがって、シゴト話マジ顔を発見するやいなや、目標物に向かって彼は驚くべき速さで接近してゆく。目標物、捕捉。彼はすかさずビールやら日本酒やらをマジ連に突きつけ──
「まあまあ、かたい話は、そのへんにして……」と言うが早いか、すでに相手のグラスに酒をドボドボと注ぎながら、無限にゆるみきった表情で、シゴト話もマジ顔もいっきに粉砕するのである。
「まあまあ」の「ま」、「かたい話」の「か」、「そのへんにして」の「そ」……つまり「まかそ」を言われたら、もう飲むしかない。いかに会社の命運にかかわる話をそこでしていたとしてもエンドだ。会社の宴会というオフィシャル空間で、仕事の話というオフィシャル行為を禁じられてしまう不条理さを感じつつも、抵抗できない何かがある。
このオヤジの赤ら顔には、宴会というものへの忠誠心がみなぎっている。宴会への忠誠は、会社への忠誠なのだ。このオヤジの勤続35年はダテではない。かつて「会社は家族だ」と日本経営者の誰もが唱えていたころからの生き残りだ。全社員が一丸となる宴会は、まさにそのことを酔いに酔って証す場なのだ──と、今でも信じて疑わないオヤジは、けっして、ひるまない。酔いを深めながら、頑としてひるまない。
ひるまないでおこなえることなどこの世には何もないと思っている次世代社員は、「まかそオヤジ」の、ほのぼのとしてはいるが「けっして、ひるまない」物腰に、あらがうすべもなくカンタンにひるんでしまう。注がれるままに酒を飲むしかないのだ。「まあまあ、かたい話は、そのへんにして、さあ、ぐうーっと一杯、飲みほして……」。飲むしかないのである。やるせない気持ちにさいなまれながら、ただひたすらビールでもすすっているしかないのである。
「まかそオヤジ」をうとんじてはいけない。あなどってはいけない。笑ってはいけない。なぜなら、「まかそオヤジ」は、たしかに日本が生み出した遺産なのだから。
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「まかそオヤジ」の混入率は、その零細企業規模でも充分に可能性がある。つまり5人程度で宴会しても、「まかそ」はかなり高い確率で出現すると考えていい。
おっと、これはたいへん失礼した。あなたには「まかそオヤジ」が何であるかをご説明していなかった。ひょっとすると、あなたがソレである場合もあるので、ぜひ知っておいていただこう。
会社にはさまざまなセレモニーがある。歓迎会・送別会といった不定期なものから、新年会、暑気払い、忘年会などの定期的なもの、さらにはお花見、社員旅行、運動会など準定期的なものまで、各社各様である。そのどれもが宴会と深くかかわり合っている。「まかそオヤジ」はそこに出現する。
いわゆる宴たけなわとなるころ「まかそオヤジ」の動きもピークに達する。彼の使命は、宴会も佳境だというのにマジ顔で仕事の話をしている不粋な連中をいかに素早く駆除するか、ということにある。したがって、シゴト話マジ顔を発見するやいなや、目標物に向かって彼は驚くべき速さで接近してゆく。目標物、捕捉。彼はすかさずビールやら日本酒やらをマジ連に突きつけ──
「まあまあ、かたい話は、そのへんにして……」と言うが早いか、すでに相手のグラスに酒をドボドボと注ぎながら、無限にゆるみきった表情で、シゴト話もマジ顔もいっきに粉砕するのである。
「まあまあ」の「ま」、「かたい話」の「か」、「そのへんにして」の「そ」……つまり「まかそ」を言われたら、もう飲むしかない。いかに会社の命運にかかわる話をそこでしていたとしてもエンドだ。会社の宴会というオフィシャル空間で、仕事の話というオフィシャル行為を禁じられてしまう不条理さを感じつつも、抵抗できない何かがある。
このオヤジの赤ら顔には、宴会というものへの忠誠心がみなぎっている。宴会への忠誠は、会社への忠誠なのだ。このオヤジの勤続35年はダテではない。かつて「会社は家族だ」と日本経営者の誰もが唱えていたころからの生き残りだ。全社員が一丸となる宴会は、まさにそのことを酔いに酔って証す場なのだ──と、今でも信じて疑わないオヤジは、けっして、ひるまない。酔いを深めながら、頑としてひるまない。
ひるまないでおこなえることなどこの世には何もないと思っている次世代社員は、「まかそオヤジ」の、ほのぼのとしてはいるが「けっして、ひるまない」物腰に、あらがうすべもなくカンタンにひるんでしまう。注がれるままに酒を飲むしかないのだ。「まあまあ、かたい話は、そのへんにして、さあ、ぐうーっと一杯、飲みほして……」。飲むしかないのである。やるせない気持ちにさいなまれながら、ただひたすらビールでもすすっているしかないのである。
「まかそオヤジ」をうとんじてはいけない。あなどってはいけない。笑ってはいけない。なぜなら、「まかそオヤジ」は、たしかに日本が生み出した遺産なのだから。
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Posted by love40 at 10:13
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