2005年07月25日

稽古の悲劇


僕が高校1年の時のことだから、ずーーーーいぶん昔のこと。友だちにヤスハラというやつがいて柔道部員だった。そいつが放課後に教室の戸口で、友だち2人とたむろしてしゃべっていた。
そこへ、柔道部の先輩(3年)が通りかかった。先輩は通りすぎる時にヤスハラの背中に声をかけた。

「おい、ヤスハラ、稽古は?」

すると、ヤスハラ、背を向けたままわめいた。

「うるせえなあ! 関係ねえよ!」

次の瞬間、ヤスハラはその先輩に投げられていた……。

あのヤスハラは無惨だった。
あの時僕は、ヤスハラと喋っていた2人のうちのひとりだったのだが、その時の話題というのが、同じクラスにいたササノという女の子のことで、ヤスハラがササノとデキているという噂の真相を追求している最中だった。真相の追求というよりは、ま、からかっていたわけだ。

「おまえ、ササノとヤッたんだろ?」

つまり、こんな感じのプリミティブな追求をクドクドしていた。ヤスハラに運がなかったのはササノの名前が「ケイコ」だったことだね。

「よお、ヤスハラァ、おまえ、ケイコとデキてんだろぉ?
なああああ」
「おい、ケイコとよおおおお!」
「うるせええええんだよ!」

そこへ、背後から先輩の声だ。

「おい、ヤスハラ、稽古は?」
「うるせえなあ!関係ねえよ!」
「ぬぁにぃ!」
「あっ…、センパイ」
ドーン……

カワイソだった。

あの時、ヤスハラが柔道部じゃなくて、野球部とかサッカー部だったら、あんなことにはならなかったのに……。「稽古」とはぜったい言わないもんな。


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