2005年07月25日
雪国は○、友情は×……?
僕は「ゲンかつぎ」というものをしないのだが、いま電話をしていた相手が、たまたま面白い「ゲンかつぎ」をしていることを聞き出したので、それをご紹介する。
その友だちは僕と同じライターで、職業柄なのか、言葉にまつわる妙な「ゲンかつぎ」をしている。「ゲンかつぎ」と言うより「今日の運勢」と言ったほうがいいのかもしれないが、面白いと思ったので、とにかくご紹介する。
やり方は、まず何でもいいから1冊の本を手に取る。しいて言えば、小説がいいようだ。しかも、読み終わったもののほうがいい。(ワケはあとでわかります)
その本を開き、小説の最初の1文を見る。次に、その小説の最後の1文を見る。そして、その2つの文を、百人一首の上の句と下の句のようにつなげて1文にする。
その“つながり具合”の良し悪しで、その日の“出来具合”を占うというものだ。あっ、やっぱり占か。でも、占いもゲンかつぎのようなものだから、説明続行(←オヤジ強引)。
たとえば、武者小路実篤『友情』でやってみると──
最初の1文は「野島が初めて杉子に会ったのは帝劇の二階の正面の廊下だった。」
最後の1文は「神よ助け給え」
この2つの文を、たんに上下に並べても1文にはならないので、それぞれの文から適当に文節をピックアップし、つなげてみる。
たとえば「野島が初めて杉子に会ったのは、神よ助け給え。」でもいいし、あるいは「野島が初めて杉子に助け給え」でもいい。
とにかく、上の句と下の句をつなげ合わせてみて、ヘンだったり、ビミョーだったり、ぴったんこカンカンだったり……、それを楽しみながら、きょうの景気づけにするというものだ。
ほら、子供のときに電車に乗ると必ず、キップについている4つの数字を四則計算して「10」にするという遊びをしたでしょ? 「10」になると、なんか気分がよくて、それだけでその日の幸先がよく感じられた、アレと同じだ。(ということは、やはり“占い”と言うよりは“ゲンかつぎ”に近いかも)
キップの「10」遊びが、言葉になったと思えばいい。ちょっと文学的(?)だし、やってみるとけっこう奥が深い(と、友だちは言っている)。しかも、名作がたった1行で読めてしまう……わけではない(笑)。
武者小路実篤『友情』は、ハマった感じがしなかったので、「本日は低調ゆえに、気をつけよう」といったふうに勝手に教訓をつくってしまうわけだ。
では、もうひとつ実例をやってみよう。
せっかくだから、川端康成の『雪国』で試してみよう──
最初の1文は、あまりにも有名な「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」
そして、最後の1文は「踏みこたえて目を上げた途端、さあと音を立てて天の河が島村のなかへ流れ落ちるようであった。」(「島村」とは主人公の名)
つなげてみよう。
「国境の長いトンネルを抜けると、さあと音を立てて天の河が島村のなかへ流れ落ちるようであった。」
おお、なんか、いいじゃないか! まるでスペース・ファンタジーのようだ!
たまたまだけど、こんな素敵な文が生まれた日は、なんかゴキゲンだし、運の神さまが味方してくれるに違いない!
最後に一言。まだ読んでいない小説の最後は、読まないほうがいい(笑)。
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Posted by love40 at 16:17
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