2005年07月25日

ヘンな食わず嫌い


こういうのを「食わず嫌い」と呼ぶのだろうか?
僕の場合、フォークとナイフが「食わず嫌い」を招いている。
マナーがよくわからないから……ではない。
使い方がヘタだから……でもない。
じつは、フォークとナイフ──あのメタリックな物体が口の中に入ること自体に抵抗感があるのだ。

僕が子供の頃の大昔、フォークやナイフやスプーンの素材が粗悪で、口に入れたときに漂った陰気な金属臭がいまだ不愉快な記憶としてとどまっている、ということもないわけではないが……。時を経て日本は豊かになり、そういうふとどきな金属臭を含んだフォークやナイフやスプーンにはお目にかからなくなった。
ところが、それでも僕の金属フォークや金属ナイフへの苦手意識は改善されていない。

つまり、“味覚的”な好き嫌いはそれほど問題ではないのだ。なぜなら、食べる前にすでに、金属器への「嫌い」な感じがつきまとっているからだ(ゆえに「食わず嫌い」なのだけど)。
“味覚的”なことではなく、“視覚的”“触覚的”に苦手なのだ。フォークやナイフの金属質を目の当たりにし手にするやいなや、僕は、冷え冷えと光沢を放つ工作器具を連想してしまうのだ。その金属器を、口に運ぶことに抵抗がある。

木製や竹製の“お箸の国”に生まれた僕は、あのメタリック・ツールにいまだに馴染めないでいる。
だから、家で食事をする際は、フォークですることは箸でまかない、ナイフを要するものは直前にカットして皿に盛る。またスプーンは、木製のさじか陶器のちりれんげを使っている。

外で食べる場合は、わがままを言うのも何だから、その場にある食器でそれなりに楽しくパクパク食べている。郷に入っては郷に従え。ノー・プロブレムだ。
その意味では、病的なまでの嫌悪というのはいささかもない。ごくフツーに食生活を送っている。が、「できれば」というほのかな希望がある、ということだ。

格式のあるレストランで「俺は日本人だから、箸じゃなきゃ食わないもんね!」などとダダをこねるほど頑迷ではないが、できれば金属ではなく、ほかの質感のいいフォークやナイフやスプーンがあれば、僕の“食わず嫌い”因子がうごめくこともないのだけど……。


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