2005年07月26日

ある意味、最低最悪のゲテモノ料理


ゲテモノについてあれこれ考えているうちに「あ、これもゲテモノ……、てゆーか、これこそゲテモノかも……」と思い当たるものがあった。
ゲテモノ料理の定義が“キモい食べ物”なのだとしたら、これはかなりキモい。「キモい」というより「最低最悪」かもしれない。しかも驚くことに、たいていの人が体験している、はずだ。

僕はよくそのゲテモノ料理を朝に食べてしまう。
僕は和食系が好きだから、朝は、白いご飯とみそ汁に、お新香、さらに生卵か海苔などを付け、焼き魚があればなおいい。じつは、これにあと一品加えると、ゲテモノ料理が完成する。
もし、洋食系がお好みなら、パンに、サラダに、卵をお好みに調理し、コーヒーなどをセットすれば、まずまずのブレックファストだろう。これにあと一品添えると、やはりゲテモノ料理が完成する。
つまり、このゲテモノ料理は和洋を問わないのだ。いったいどんなゲテか、想像できます?

さて、いよいよもう一品を添えることにする。僕は、食卓の上のテレビのリモコンを手に取り、スイッチを押す。これが“最後の一品”だ。
テレビがつき、どっと音や映像が流れ始める。時刻は、そう、7〜8時頃。朝のその頃と言えばワイドショーの時間。僕たちの身辺の出来事から世界情勢まで、さまざまなニュースを取り上げ提供してくれる。そのニュースの中で、最近とくに多いのが“殺人事件”だ。
僕は、みそ汁をすすり、白米を口に頬ばりながら、その殺人ニュースに目と耳を向ける。

『……被害者の妻とその愛人が2人で、寝ている○○さんの首を絞めたうえで頭を鈍器で殴り、遺体をバラバラにして捨てたそうです……』

僕の頭の中で、その殺人ニュースは具現化し、白米やみそ汁とこねくりまわされ、生卵で味つけされ、焼き魚とともに胃袋に送り込まれていく……

『……まだ5歳の○○ちゃんは食事ももらえず、ベルトやスリッパでたたかれるなどの虐待を日常的に受け、ついに衰弱死。その虐待発覚を恐れた両親は、遺体をバッグに入れて持ち運び、白骨化を待って1年後に町内の墓地に埋めたという、おぞましい事件でした……』

ふんわりと柔らかいパンの上に、カリカリの香ばしいベーコンをのせ、さらにその上に“虐待”や“衰弱死”や“白骨化”をトッピングして、パクつく……

『……妻と子供2人、そして祖父と祖母は首をひものようなもので絞められ死亡しており、風呂場で倒れていた弟のそばには、血痕のついた包丁があったそうです。容疑者の○○は腹部に刺し傷を負い、重傷ということです……』

緑茶やコーヒーをすすりながら、一家惨殺のあらましに耳を傾けるひととき……

 『……交際していた女性○○さんの胸や腹など10数カ所をナイフで突き刺して殺害し、さらに灯油をまいて火をつけ、木造2階建てを全焼させるという凶悪な犯行です……』

……食事が終わり、そろそろ仕事でもするかと腰を上げる僕。ふと胃の重みに気づく。と同時に、僕はその時初めて思い至る──自分が人の惨事をおかずにメシを喰らってしまったことに。
最低最悪のゲテモノ料理!

あまりにもむごたらしいことが、あまりにも頻発し、おびただしい惨事に不感症になりつつある時代……
僕たちは、ひょっとして、最低最悪のゲテモノ料理を平気で食べるようになっているのではないだろうか?

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