2005年07月26日

もうひとつの20年間


先日、『ライブ・エイド』から『ライブ8』への、20年という歳月について書いた。
書きながら僕はふと、もうひとつの20年物語を頭に浮かべていた。

奇しくも『ライブ・エイド』と同じ1985年に、ひとりのボクサーがプロ・デビューしている。
“アイアン(鉄人)”マイク・タイソン。
彼ほどに完璧でどう猛なヘビー級ボクサーが、ほかにいるだろうか?

デビュー当時の彼は、リングに立つだけで、そこに巨大な恐怖がうずまいた。
対戦者の「これから自分は葬られるのだ」という恐怖、観戦者たちの「世界で最も殺傷能力をもつ男がそこにいる」という恐怖。

すでに20年も昔のことだから、タイソンがいかに“恐怖”のボクサーだったか知らない人もいるかもしれない。でも、下の対戦成績を見れば納得するはずだ。
彼は、デビューからわずか2年たらずで、史上最年少のWBC世界ヘビー級チャンピオンになってしまう。しかも、そこまでの戦果はまさに“秒殺”の歴史と言っても過言ではない。なんと28戦中15戦が1ラウンドで相手を沈めている。

【1985年】
 3月 6日 ヘクター・メルセデス ────1回 KO勝ち
 4月10日 トレント・シングルトン ────1回TKO勝ち
 5月23日 ドン・ハルピン ───────4回TKO勝ち
 6月20日 リック・スペイン ────── 1回 KO勝ち
 7月11日 ジョン・アルダーソン ──── 2回TKO勝ち
 7月19日 ラリー・シムズ ───────3回 KO勝ち
 8月15日 ロレンゾ・キャナディ ────1回TKO勝ち
 9月 5日 マイケル・ジョンソン ────1回 KO勝ち
10月 9日 ドニー・ロング ───────1回TKO勝ち
10月25日 ロバート・コーリー ─────1回 KO勝ち
11月 1日 スターリング・ベンジャミン ──1回TKO勝ち
11月13日 エディー・リチャードソン ───1回 KO勝ち
11月22日 コンロイ・ネルソン ───── 2回TKO勝ち
12月 6日 サミー・スカフ ───────1回TKO勝ち
12月27日 マーク・ヤング ───────1回 KO勝ち
【1986年】
 1月11日 デーブ・ジャコ ───────1回TKO勝ち
 1月24日 マイク・ジェームソン ──── 5回TKO勝ち
 2月16日 ジェシー・ファーガソン ─── 6回TKO勝ち
 3月10日 スティーブ・ゾースキー ─── 3回 KO勝ち
 5月 3日 ジェームス・ティリス ────10回 判定勝ち
 5月20日 ミチ・グリーン ───────10回 判定勝ち
 6月13日 レジー・グロス ───────1回TKO勝ち
 6月28日 ウィリアム・ホシー ───── 1回 KO勝ち
 7月11日 ロレンゾ・ボイド ────── 2回 KO勝ち
 7月26日 マービス・フレージャー ─── 1回 KO勝ち
 8月17日 ホセ・リバルタ ────── 10回TKO勝ち
 9月 6日 アルフォンソ・ラトリフ ───  2回TKO勝ち
11月22日 トレーバー・バービック ─── 2回TKO勝ち
       (WBC世界ヘビー級王座獲得)

この後も、タイソンはばく進する。
しかし、育ての親である名トレーナー、カス・ダマトの死以来、私生活でのタイソンは恵まれることなく、スキャンダル続きだった。
結婚とその破綻、レイプ事件と有罪判決、刑務所での生活、再起……
そして1997年6月28日、世界ヘビー級タイトルマッチで、対戦中にイヴェンダー・ホリフィールドの耳を噛み切るという事件を起こしてしまう。

さらに時は流れ、今年、つい10日ほど前の6月12日、タイソンはアイルランドの強豪ケビン・マクブライドと戦った。
結果は、6回TKOでタイソンの敗北。
試合直後のインタビューで「オレはもう終わった。これ以上ファイトすることに興味はない」と語り、事実上の引退表明をおこなった。
K-1など格闘技からの誘いを受けているタイソンではあるけれど、これで彼のボクシング人生は幕を降ろしたと言えよう。

奇しくも『ライブ8』がおこなわれる今年、デビューから20年目にしてマイク・タイソンの歴史にひとつの区切りができた。
「オレはもう終わった」……“アイアン(鉄人)”と呼ばれた男にも、最後というものがあるのだ。

20年、長き時の果て……。

人気blogランキングに参加しています

この記事へのトラックバックURL

http://app.blog.livedoor.jp/love40/tb.cgi/50039146