2005年11月07日
ラブ・フォーティ 第157話 〜フェア〜
(最初からお読みになりたい方はこちら→【ラブ・フォーティ 第1話】 )
第156話より続く
芳賀が腰に手を当てて待ちかまえていた。
新田を見るなり「ラン」と言って、逃げるように走り始めた。
新田が叫んだ。
「このバッグ持って走るんですか?」
「そうだ」
芳賀は振り返りもせず言い放ち、なおも速度を速め、途中で道を折れフッと姿を消した。新田は、あんぐりと口を開けたまま、もたつく足で追いかけた。
新田が道を曲がると、そこに芳賀はニヤニヤしながら立っていた。背後に止まっている車のボンネットを軽く叩いて「乗れ」と言った。
車が幹線道路に出たころには、新田も落ち着いていた。
「“狐につままれる”というのは、こういう感じなんでしょうね」
芳賀は車内いっぱいに笑い声を立てた。
「驚いたか?」
「驚いたも何も……」
「じつは偶然この近くのテニスコートに来ていて、そこでおまえの留守電を聞いたってわけさ。藤永からおまえの家の位置は聞いていたんでな。“ダメモト”で寄ったんだ」
「しかし、わざわざ車を隠しておくあたりは、手が込んでいるじゃないですか」
新田は腹立たしげに言った。
すると芳賀は一段とすさまじく笑った。
「ああ、あれか。あの道は、あっちから来ると一方通行で入れないから、あそこに車を止めたまでだ」
芳賀の説明に、新田は力なく笑った。笑いがひくと、その顔をわずかにしかめた。
「あの……、芳賀さんはここに初めて来たんですよね?」
「ああ、そうだけど、何か?」
「さっき芳賀さんが道路に立っているのを上から見下ろしたとき、前にも同じようなことがあったような気がしたもんで……」
「ふーん。そりゃデジャブだな」
「“デジャブ”……」
「そんなことより、前から考えていた作戦があるんだ」
「“作戦”?」
「おお。安斎ファイト・バック作戦だ」
「ああ、例の……」
「本当はもうひとりくらい仲間がいたほがいいんだが、あまり多いのもフェアじゃないしな」
「何かヤバイことですか?」
「いやいや。そんなんじゃない」
言うなり芳賀は満足げに笑い、がっしりした肩をそびやかした。
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Posted by love40 at 07:42
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