2005年11月22日

ニットアウト&ニットカフェ


ニットアウト」というイベントが最近各地で催されているらしい。
たくさんの人が集まって手編みを楽しみながら、おしゃべりに興じたり、互いに編み方を教え合ったりするのだそうだ。

さまざまな色合いの毛糸に囲まれ、ふんわりとした感触に指先と編み針をからめながら、少しずつ作品が出来上がっていくひととき……。と同時に、お仲間との何気ない言葉のつむぎ合いが、ゆっくりゆっくりふくらんでいくひととき……。

お茶を楽しみながらの「ニットカフェ(月に2回ほどの集い)」というものも増えているそうで、いっときの流行(はやり)だけでもてはやされているようではないようだ。
大きな「ニットアウト」イベントとともなると、編み物に心得のある女性だけでなく、初めて編み針を持つ父親や子供なども参加し、たいへんな賑わいを見せるという。

読売新聞(11月18日付)によると──
ニットアウトは、多くの人々が公園や大通りなどに集まって手編みを楽しんだり、作品を発表したりするアメリカ発祥のイベント。日本では、手芸用品メーカー「クロバー」が昨年秋に初めて開いた。同社が今年10月に東京・六本木ヒルズで開いたニットアウトは6000人も参加する盛況となった。手芸店の店頭などでも開催が相次いでいる』のだそうだ。

6000人とは、なかなか壮観ではないか!

ところで、ニットアウトの記事を読みながら、それとはまったく関係ない話なのだけれど、ずいぶん昔(たぶん30年くらい前)に僕が聞いた話をふと思い出した。
ある日本の商社マンがイギリスに赴任した。仕事にも慣れてきて、仲間からパブに誘われた。そのパブでは、ビールを飲みながらダーツを楽しむのが慣わしだった。常連たちは、ほろ酔い加減でゲラゲラ笑いながらダーツに興じていた。その日本人も店に通うようになった。

ある日、その日本人はデパートへ行ってダーツのセットを買った。さっそく家に持ち帰ると、頃合いの壁に的を据え付け、練習を始めた。会社から帰るとワンゲーム、土曜日・日曜日になると時間が許す限り練習をした。その日本人はみるみる上達した。
そして、そのパブへ行くたびに連勝するようになり、彼に勝てる仲間はいなくなった。

ある夜、いつものようにそのパブで全勝すると、一番仲のいい友だちがビール片手に寄ってきて、その日本人の耳もとに苦笑まじりにこうささやいた。
「うまくなったもんだ。すいぶん練習したんだろ」
「ああ。ダーツを買ってきて、家で毎日練習したよ」
「道理で。日本人の熱心さには頭が下がるよ。やるたびに君の勝ちってことだ。ということで、もう君とは遊ばないよ」
それ以来、その日本人はダーツに入れてもらえなかった。

……このエピソードには、いろいろな意味が含まれているのだろうけれど、話をしてくれた友人は「要するに、日本人は遊びというものがわかっていないんだよね」というようなことを言っていた。
勝ったり負けたり──しかもビールでほろ酔い加減の中、まぐれで勝ったり、足元がよろけて負けたりしながら、「おまえにゃあ、親父の代から負けたことないぞ、ワッハッハ」とか「この辺りのチャンプと言えば、言うまでもなくこのオレよ」と冗談まじりの見栄をきりゲラゲラ笑いながら──勝ったり負けたりを、その夜その夜の酒のツマミにしていた連中の中に、突然しかつめ顔の日本人が全戦全勝して「グッドナイト!」と言って帰っていく。そこに残された誰かがつぶやく「おいおい、ここはいつから社交場じゃなくて、ダーツ選手権会場になったんだい?」

なぜ僕がこんな話を持ち出したかというと、先ほどの「ニットアウト」「ニットカフェ」に、もしこの僕が参加したら、きっといまの“パブの一生懸命な日本人”のようになってしまって、ひたすらニット技術の向上に日夜励むようになり、カフェでのお仲間との世間話にもなかば背を向けて編み針をせかせかと動かす、“遊び心”のない人間、“ゆとり”のない人間になってしまいそうな気がしたからだ。

読売新聞の記事にはこのようなことが記されていた──
日本編物文化協会などによると、最近の手編みブームはアメリカから伝わってきたという。手芸がストレス解消やリラクゼーションにつながると広く知られるようになり、ハリウッド女優がおしゃれな趣味として手編みに取り組み、ブームを後押しした。2001年9月の同時テロ後、心の安らぎを求める傾向が進んだことも一因となり、ニューヨークなどで編み物の店が開業しているという』

「男だから」という理由ではなく、たぶん僕がニットをやることはないだろう。
なぜなら、僕の義姉にニットの達人がいて、僕が仮に始めようものならシゴきにシゴかれること明白だからだ(苦笑)。


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この記事へのコメント
ニット以上の暖かさがありますね、ここには^^

編み物は苦手なのですが、数年前、ビーズアウト(こんな呼び名があるのかワカリマセンが)しておりました。
ホント、安らぎ、助けられました^^
あの時ビーズに出会ってよかった、くらいに(笑)

Posted by mihoris at 2005年11月23日 17:50
●●●mihorisさんへ●●●
>数年前、ビーズアウト(こんな呼び名があるのかワカリマセンが)しておりました。
じつは僕、10年ほど前に(カルチャーセンター関係の)手芸講座のプロデュースみたいなことをやっていた時期がありまして、吉祥寺のユザワヤにはよく行ってました。ビーズ・コーナーは、用がなくてもウロウロしてました。小さな小さなメルヘン世界のようで、宝探しのようで楽しいですよね。
>ホント、安らぎ、助けられました^^
最近の僕は、「ビーズアウト」でなくて「ビールアウト」ですね(笑)
Posted by オヤジライター加久時丸 at 2005年11月24日 08:50
吉祥寺のユザワヤ!いいですよね〜、あすこは。
当時私も行きつけておりました。
最近、フラワー関連にはゴールドカードなるものが登場したんですヨ。

それにしても、ゴルゴに手芸。。。分野がお広くいらっしゃる。。。

ビールアウトには寒い季節ですが、かまくらで飲まれたりするのでしょうか^^

よい冬を☆
Posted by mihoris at 2005年12月05日 21:22
●●●mihorisさんへ●●●
>最近、フラワー関連にはゴールドカードなるものが登場したんですヨ。
ほほう、見に行ってみましょう。
>それにしても、ゴルゴに手芸。。。
言われてみて初めて気づきました。自分がコワい(笑)
>ビールアウトには寒い季節ですが、かまくらで飲まれたりするのでしょうか^^
それ、いいですねえ。
お互い、よい冬にしたいですね!
Posted by オヤジライター加久時丸 at 2005年12月06日 06:52