2005年11月25日
ラブ・フォーティ 第175話 〜サービスエース〜
(最初からお読みになりたい方はこちら→【ラブ・フォーティ 第1話】 )
第174話より続く
2回戦、対倉石戦。新田はネットプレイに徹した。サーブを打つと同時にネットに向かってダッシュし、ボレー体勢に入るサーブ&ダッシュ。あるいは、相手のサーブを打ち返すと同時にネットぎわへダッシュするリターン&ダッシュをくり返した。ボレーは徹底的に倉石のバックハンド側へ入れた。
試合開始直後は、新田のボレー攻撃に対して倉石もよく防戦していたが、次第に集中力が切れ始め、ゲームカウント2─2から4─2と引き離されるといっぺんに崩れてしまった。結局、6−2で新田が勝ちをおさめた。
新田は、3回戦つまり準決勝に進み、芳賀対安斎のいずれかの勝者と対戦することになった。
隣のコートでは、その芳賀と安斎が一種異様な戦いをおこなっていた。
芳賀は、安斎とまともに戦っても勝ち目はないと見て、肩の強さとサーブ度胸のよさを武器に、サービスエース狙いでぶつかっていった。大会出場者中、最速球のサーブを連打した。芳賀のサービスゲームのときは、安斎でさえ手が出ない豪速球サーブか、向こう見ずとも言えるようなダブルフォルトのどちらかで決着することが多く、ボールの打ち合い……ラリーというものがほとんどなかった。
いっぽう安斎は、芳賀のサーブ攻撃につきあわないことにしていた。サイドライン目いっぱいに切りこんでくるサーブや、センターラインぎりぎりに飛びこんでくるサーブに神経質になって、左右に追いかけまわして心身を消耗させてしまっては次の試合に影響する、と考えたのだ。このあと、もう2試合こなして優勝しなければならない自分が、たかが2回戦でバテているわけにはいかないのだ。隣のコートでダッシュをくり返している新田のように、場当たりで戦っていると、どこかでつぶれることになるのだ。
安斎は自分のサービスゲームだけはしっかり取って、じっくりチャンスを待った。当然、ゲームカウントは平行した。芳賀がサーブで取ると、その裏安斎がラリーで取る。1─1……、2─2……、3─3……、4─4……。
第9ゲーム。突然、芳賀の肩が重くなった。芳賀は心の中で“ヤバイ!”と叫んだ。この肩の重みが何を意味するのか、芳賀はよく知っていた。野球部時代にピッチャーをやっていた球友からさんざ聞かされていたのだ。力まかせに直球を連投していると、突然落とし穴に落ちるように、ガクッと肩が機能を停止する。スピードを失い、コントロールが狂い始めるのだ。
安斎は、芳賀の変調を察知するやいなや攻撃に転じた。球威が甘くなったサーブを、フットワークを最大限にして積極的に叩き始めた。
ゲームが延々と平行しているときは、たった1ゲームの崩れが決定的なものとなる。たった1ゲーム、つまり4〜5球が勝敗を分ける。それがいまだ、と安斎は判断した。
安斎のリターンボールは、芳賀の動きの真逆を突いていった。芳賀が右へ動こうとすれば、ボールは左をすり抜け、左に体を傾ければ、その反対の右へボールは飛んでいった。すべては安斎の読み勝ちだった。
いままでの試合の流れどおりなら芳賀の5─4になるところだったが、ここでゲームカウントが逆流した。4─5となり、さらには4─6といっきに安斎が勝ちを決めこんだ。
芳賀は負けた。が、彼に悔いはなかった。せいせいとした気分でコートをおりた。安斎を相手にゲームカウント4─6は上出来だと思った。
ふたりは無言のまま歩み寄り、ネットを挟んで握手を交わすと、それぞれのベンチに戻った。
続き(第176話)を読む
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Posted by love40 at 08:20
│Comments(2)
この記事へのコメント
ということは…次は新田さんと安斎さんが対戦するんですね!(どき@▽@ドキ)いよいよですね。
イギリスの音楽、詳しくないですが、デヴィッド・ボウイ、U2、クイーン、オアシス、ストーンズが好きです(ありがちですが…)。アメリカのものよりイギリスの音楽のほうが肌に合うような気がします。
イギリスの音楽、詳しくないですが、デヴィッド・ボウイ、U2、クイーン、オアシス、ストーンズが好きです(ありがちですが…)。アメリカのものよりイギリスの音楽のほうが肌に合うような気がします。
Posted by
かあちゃん
at 2005年11月27日 09:44
●●●かあちゃんさんへ●●●
>次は新田さんと安斎さんが対戦するんですね!
はい。対決です!
半年ほど前には、宴会で腹踊りしていた、あの新田が・・・
>デヴィッド・ボウイ、U2、クイーン、オアシス、ストーンズが好きです(ありがちですが…)。
どのアーティストも、息の長い人たちですね(クイーンとオアシスはちょっと違うかもしれませんが)でも、みんな自分の道をずっと歩んでいる素晴らしいアーティストですよね。
>アメリカのものよりイギリスの音楽のほうが肌に合うような気がします。
あの国には何か特別なものがありますよね。あのジミヘンだって、イギリスの地を踏まなければ開花しなかったかも・・・
>次は新田さんと安斎さんが対戦するんですね!
はい。対決です!
半年ほど前には、宴会で腹踊りしていた、あの新田が・・・
>デヴィッド・ボウイ、U2、クイーン、オアシス、ストーンズが好きです(ありがちですが…)。
どのアーティストも、息の長い人たちですね(クイーンとオアシスはちょっと違うかもしれませんが)でも、みんな自分の道をずっと歩んでいる素晴らしいアーティストですよね。
>アメリカのものよりイギリスの音楽のほうが肌に合うような気がします。
あの国には何か特別なものがありますよね。あのジミヘンだって、イギリスの地を踏まなければ開花しなかったかも・・・
Posted by
オヤジライター加久時丸
at 2005年11月27日 13:19




