2005年11月29日
ラブ・フォーティ 第179話 〜チャンバラ〜
(最初からお読みになりたい方はこちら→【ラブ・フォーティ 第1話】 )
第178話より続く
第2打。新田は最速球を狙ってフラットサーブを叩きこんだ。先ほどのドロンとしたスピンサーブとは対照的な、突き抜けるような直球がセンターラインぎりぎりをえぐった。安斎はまったく動けなかった。手が出なかった。
みごとなサービスエースに拍手が集中した。
「30─0(サーティ・ラブ)!」
第3打。新田は今度はスライス系のサーブを、コート左端めがけて打った。左回転のボールが左へ大きくカーブしながら左サイドラインぎりぎりに落ち、バウンドするや、さらに激しく左へ切れていった。
コートセンター付近に球筋を読んでいた安斎は逆を突かれ、フットワークを崩され、ボールを追うことができなかった。
「40─0(フォーティ・ラブ)!」
サービスエースが連発した。
まさかのゲーム展開に、安斎の顔から血の気が引いていた。
新田は、安斎が立ちなおる前にこのゲームを決めてしまいたいと思った。サーブ動作を速め、テンポアップして安斎を押しまくることにした。
第4打。サーブ&ダッシュすることを決め、右サイドラインぎりぎりを狙ってサーブを打ち込むと同時にネットに詰めた。が、わずかにラインを外れ、フォルト。
安斎にこちらの出方を見られてしまったが、新田は、もう1回できるサーブ──セカンドサーブも、打つなりネットに走り寄るサーブ&ダッシュを仕掛けることにした。とにかく短期勝負にしたい。長い打ち合いは禁物。安斎と長いラリーになればゲームメイクされて一方的にもてあそばれることは目に見えていた。
これはチャンバラと同じだ、と新田は思った。強い相手と戦うときは、体ごとぶつかって切りちがえたほうが勝ち目がある。長いこと向かい合ってチャンチャンバラバラ刀を振りまわしていれば、強いほうが必ず勝つ。
コートをフルに使ったグランドストロークが長期戦ならば、ネットに詰め寄ったボレー戦こそ短期決戦だ、と新田は思った。返り討ちに遭うかもしれないが、いまはとにかくできる限りネットに出てボレーで戦ってみよう。
ふたたび第4打。先ほどのフォルト(サーブミス)をやり直す形で、セカンドサーブを打つ。新田はまたもやサーブ&ダッシュした。安斎のほうも今度は読みに抜かりはなかった。安斎の鋭いフットワーク、切れ味のいいリターン。ボールは一瞬にして新田のコートへ打ち返された。が、新田のボレー範囲を脱しきれなかった。新田が精いっぱい伸ばしたラケットに捕捉され、ボレーされてボールはふたたび安斎コートの死角に叩き込まれた。
「ゲーム!」
新田がゲームをひとつ取った。ゲームカウント、新田先行の1─0。
新田の第1ゲームの得点は、ドロップショット、サービスエース、サービスエース、サーブ&ダッシュからのボレーという、しっかりとした内容だった。安斎の動揺をさらに揺さぶる形でいっきに攻めたことが功を奏した。ひょっとすると、正攻法でも安斎とじゅうぶん争えるのではないかと新田は思った。
が、それほど甘いものではなかった。
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Posted by love40 at 09:01
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