2005年12月01日
ラブ・フォーティ 第181話 〜ラリー〜
(最初からお読みになりたい方はこちら→【ラブ・フォーティ 第1話】 )
第180話より続く
第6ゲーム。安斎のサーブ。
新田はリターン&ダッシュをしなかった。安斎のサーブボールをリターンすると、そのままベースライン上で待球姿勢をとった。それを見て、安斎の顔にわずかに警戒心が浮きでた。安斎は様子をうかがうようにほぼセンターに返球してきた。新田はそれをまた相手コートほぼセンターに打ち返し、ふたたびベースライン上で待球姿勢をとった。安斎の顔が確信に変わった。そうか、ボレー攻撃が手詰まりとなって、今度はストローク戦か。
安斎は、新田サイドの左隅にボールを打ち返した。新田は体を転じバックハンドストロークに構えつつ2歩3歩踏み出しながら、そのボールをコートの対角線方向“クロス”に打ち返した。安斎はそのボールを今度はサイドラインに平行方向“ストレート”に返球した。すると新田は跳びつくようにしながらそのボールをクロスに打ち返した……。
テニスコートという長方形の短辺と短辺を、ストレート線とクロス線で無数に描きむすびながら千変万化するボールの応酬。技術と体力と忍耐のいずれもが欠けてはならないラリー戦。圧倒的な技術を駆使する安斎と、体力と忍耐を振りしぼる新田。
ラリーは続いた。
5回、10回……。ただ丹念にボールを打ち返すだけで、けっして攻める気配を見せない新田に、安斎は不審といらだちを感じはじめた。新田は無策のままにラリーをくり返しているのだろうか? ならば先ほどまでのボレー攻撃のほうが、波乱含みの勝機が多少でもあるはずなのに。なぜ新田はラリーを選んだ?
15回……。
安斎は限界に達した。意味のないラリーはうんざりだった。気持ちが急(せ)いた。腹の中で叫ぶ「こっちから仕掛けてやる!」
新田の甘めの返球が目に入った。安斎は飛球方向に前進ダッシュする。加速のままにボールをぶっ叩いた。腕の振りを使ったドライブボレー。黄色い閃光がネットを越え新田のコートを駆けぬけた。新田の手に負えるものではなかった。
「15─0(フィフティーン・ラブ)!」
安斎が得点した。
安斎がサーブし、新田の堅実なリターンからふたたびラリーに突入した。新田は相変わらずねちっこくボールを返すのみで、押しも引きもしてこなかった。ラリーが重なるにしたがって、安斎の中で一度おさめたいらだちがひとまわり大きくなってくすぶりはじめた。
またもや安斎が急(せ)くように攻め勝って、長いラリーを断ちきった。が、いらだちはおさまるどころか膨らみ続けた。
「30─0(サーティ・ラブ)!」
安斎はサーブポジションについた。それから深呼吸を数回おこなったが、いらだちは消えなかった。
安斎がボールをトスアップした。と同時にサーブ動作をいっせいに開始するが、体がぎくしゃくしている。それに負けまいとして安斎は力んでボールを打った。
新田の動きに一瞬ためらいが入った。その隙にボールはセンターを抜けていった。新田のラケットが空を切る。ボールが後方へ抜けていく。サービスエース。安斎がまた得点した。
「40─0(フォーティ・ラブ)!」
主審のコールが響く。が、新田だけは心の中で「フットフォルト!」と叫んでいた。ボールを打ち終わる前に、確かに安斎の足がラインにかぶっていた。新田のところから安斎の足もとが見えているわけではなかったが、動きのタイミングで確信できた。藤永の言っていたことはまず間違いない。しかし、ここで主審にクレームをつけても状況的に取りあってくれないだろう。
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Posted by love40 at 07:34
│Comments(2)
この記事へのコメント
まだまだこのままでは終わらないみたいですね。新田さんはどんな作戦でくるんだろう。
第1ゲームで新田さんに*フォーティ・ラブ*がついたときなんかうれしかったぁ。わたしも応援がんばるぞ!
第1ゲームで新田さんに*フォーティ・ラブ*がついたときなんかうれしかったぁ。わたしも応援がんばるぞ!
Posted by かあちゃん
at 2005年12月01日 22:03
●●●かあちゃんさんへ●●●
>第1ゲームで新田さんに*フォーティ・ラブ*がついたときなんかうれしかったぁ。
でも、安斎はそんなに甘くはないですよね(涙)。
>わたしも応援がんばるぞ!
ありがとうございます! それこそが、新田にとって最大の武器です!
>第1ゲームで新田さんに*フォーティ・ラブ*がついたときなんかうれしかったぁ。
でも、安斎はそんなに甘くはないですよね(涙)。
>わたしも応援がんばるぞ!
ありがとうございます! それこそが、新田にとって最大の武器です!
Posted by
オヤジライター加久時丸
at 2005年12月02日 08:41




