2005年12月15日
スイスの新札に胎児、がい骨が登場か
たまたま僕は広告関係の仕事にたずさわってきたので、プレゼンテーションというものをおこなう機会がよくある。
プレゼンテーション(通称、プレゼン)とは、簡単に言えば、「今度の新たな広告はこんな感じで展開したいのですが、いかがでしょう? 制作物はこれで、制作意図をまとめた企画書がこれです」ということを、先方(クライアント)に提案することだ。
プレゼンは広告に限らず、さまざまな業種でおこなわれていて、本屋さんなどに行けば『効果的なプレゼン術』だとか『攻めの企画書』だとか、どっさり並んでいる。
さて、企画書には、その冒頭にたいてい「企画主旨」とか「企画骨子」と呼ばれる項目が掲げられていて、(僕の経験上では)企画意図を3つの要素にまとめられていることが多い。
なぜ「3つ」かというと、人は「3つ」が好きだからだ、としか言いようがない(笑)。5つでも7つでも構わないのだけれど、なぜか3項目掲げられていて、さらに3つの円などを使って図式化されていることが多い。すると、企画書の1ページ目として、すごくサマになる(笑)。
たとえば、あるイベントの開催主旨として『「先進」「環境」「共生」を基調とする』などと書き表されていたりする。企画書の読み手は、この3要素に留意しながらイベント案を検討することになる。「この企画に“先進的”なものは期待できるか? “環境問題”を訴求しているか? “共生”の実現に寄与しているか?」などとチェックしながら読み進む。
そして、企画主旨の3つに反していないと判断すると、「企画意図をかなえていて、有意義な提案だ」となる。
ところが、このような論法で立案して、とんでもない企画が決定してしまうことがある。少なくとも、僕の経験だけでも何度もある。
まず最初にプランナーが企画主旨を設定し、それを満たしているかどうか検討しながらコピーなりデザインなり制作し広告物に仕上げていく。
とりあえず制作物が出来上がり、みんなで検討する。すると「なんかヘンだな」と誰かが言ったりする。他の者も「確かに、ズレてるよな」と言う。僕も「切れ味のない広告だ」と思ったりする。そこへ、プランナー(とかディレクター)が現れ、当初の企画主旨と照らし合わせてみる。で、言う「当初の企画意図を満たしているし、クライアントも喜ぶと思うよ」と。
デザイナーやコピーライターなど、制作関係者は徹夜に次ぐ徹夜でヘトヘトだから、そのひとことで、「そう言われれば、確かにそうですね」と怒濤のごとく同意しちゃったりする。そして逃げるように帰宅する(笑)。
こういうことは、よくあることだ。
きっと、この一件も、そんな制作プロセスがあったのではないか、と僕はにらんでいる。
いま、スイスの新札導入に際して、一悶着起こっているそうだ。
時事通信(12月10日)の見出しは、およそ冗談としか思えないようなもので『スイスの新札に胎児、がい骨登場か』となっている。記事は短いもので──
『偽札防止のため新札の導入が検討されているスイスで、公募でトップの作品。100スイスフラン札には胎児、1000フラン札の透かしにはがい骨が登場。「毎日使うお金としてはふさわしくない」などと激論』と伝えている。

上の画像を見ると、見にくいかもしれないけれど、確かに100スイスフランには「胎児」が、1000フランには「がい骨」が透かしになっている。ほかにも「赤血球」があるそうだけれど10フランがそれか?
しかし、揃いも揃って「得体の知れない」図柄だ(苦笑)。
公募なのだからどんなアイデアが出てきても不思議ではないのだけれど、それがトップとなると実際に使われる可能性があるわけだ。その辺の選考システムがよくわからないので何とも言えないのだけれど、少なくとも、公募で集まった案を事前選考で絞って、本選考にかけたのではないだろうか。
で、前述の話につながる。
これは僕の予想なのだけれど、この新札デザイン公募に際して、企画主旨(
デザイン意図)のようなものが公募元(国側)から掲げられていて、その要請を満たしたものが本選考へと勝ち上がったのではないだろうか?
たとえば、「新札デザインとして、満たすべき条件を3つ掲げる。それに沿って、デザイン提案をすること」といった具合に。
で、その3つの条件なのだけれど、僕なりの憶測では──
(1)従来の紙幣にはない、独創的なデザインであること
(2)造形的に(純粋にデザインとして)斬新であること
(3)人が毎日使うものとして、人間性を感じさせるもの
という感じなのだけれど、どうだろう?
かりに上記の3つが必須条項だとすると、この新札たちはグロテスクかもしれないけれど「独創的」だし、好き嫌いはあるにせよ「造形的」なアイデアを感じさせるし、胎児とがい骨という人生の両端を掲げることにより「人間性」を表現しているとも言える。
少なくとも「企画意図をかなえていて、有意義な提案」であると言えよう。
さて、あなたはどう考えるか?
いずれにせよ、「企画」「企画書」のたぐいには、お互い注意しましょうね(苦笑)。
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Posted by love40 at 10:16
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この記事へのコメント
爆笑。
人間性=骸骨ですか。
よりによってスイスが!!
偽造する以前に、あまり使いたくないですね。。。
ん?もしかすると、使いたくない=貯金/投資=国ごとリッチに!!
というプランが裏の裏ではあったかもしれませんヨ。
なわけないです、ハイ。笑。
人間性=骸骨ですか。
よりによってスイスが!!
偽造する以前に、あまり使いたくないですね。。。
ん?もしかすると、使いたくない=貯金/投資=国ごとリッチに!!
というプランが裏の裏ではあったかもしれませんヨ。
なわけないです、ハイ。笑。
Posted by
mihoris
at 2006年01月08日 16:49
●●●mihorisさんへ●●●
>偽造する以前に、あまり使いたくないですね。。。
この新札を店などで出すたびに、悪口雑言、話に花が咲いて、スイス人全員がおしゃべりのすえにみんな友だち同士になる──という「スイス全国民お友だち計画」の一端かもしれない(笑)
なわけないですね、ハイ。
>偽造する以前に、あまり使いたくないですね。。。
この新札を店などで出すたびに、悪口雑言、話に花が咲いて、スイス人全員がおしゃべりのすえにみんな友だち同士になる──という「スイス全国民お友だち計画」の一端かもしれない(笑)
なわけないですね、ハイ。
Posted by
オヤジライター加久時丸
at 2006年01月12日 15:58




