2005年12月17日

ラブ・フォーティ 第197話 〜ケガ〜


(最初からお読みになりたい方はこちら→【ラブ・フォーティ 第1話】 )

第196話より続く

 目が覚めると、新田はベッドに横たわっていた。やけに白っぽい部屋の中だった。ベッドの脇には、晴美が青ざめた面もちで椅子に腰かけていた。新田は、ぼんやりとした頭の中で不安を感じとった。

 新田のまぶたの動きに気がついて、晴美はあわてて笑みを浮かべた。
「気がついた?」
「ああ……。ここは?」
「病院よ」
 晴美の声を聞きながら、新田は、自分が先ほどまで何をしていたのかようやく思い出した。
「ケガをしたのか?」
「ええ。ケガして……、気を失って……、救急車で運ばれたの」
「その間、ずっと眠っていたのか?」
「そう。3時間くらい」
「3時間も? どこをケガしたんだ?」
「左膝のじん帯が切れたんですって」

 その言葉に促されるように、新田はおそるおそる顔だけ立てて自分の下半身を眺めた。左足に固定具が巻かれていた。おそらく痛み止めが効いているのだろう。何も感じない。
「じん帯が切れた? ぜんぜん覚えがないよ。晴美は見てた?」
「私の位置からは遠くて、よくわからなかったんだけど、足が絡まって転倒したみたいだった。お医者さまの話だと、左足の膝かふくらはぎのあたりを、右足で踏みつけてしまったんじゃないかって。ちょっと想像しにくいんだけど……」
「あのとき、足が疲れきっていて、もう言うことを聞かなくなっていたからな」
「お医者さまが驚いていた。普通なら立っていられるはずがないのに、またプレイをしようとするなんて信じられない、って。気を失うのも無理はない、って」
「そんなにひどい状態なのか?」

 新田の問いに、晴美の視線がストンと下に落ちた。そのままうなずいた。
「ひどい……、らしい。全治3カ月。入院は2週間の予定ですって」
「全治3カ月……。入院2週間……。じゃあ、テニスは……」
 新田の声が震えた。晴美の顔がいっそう青ざめる。新田が何か言おうとして口を開きかけるが、その口を封じるかのように誰かが病室の扉をノックした。
 晴美の「どうぞ」と言う声を待って、扉はスルスルと横に滑った。戸口に立っている人物を見て、新田はひどく驚いた。そこには日下部律子が立っていた。

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