2005年12月20日

ラブ・フォーティ 第200話 〜シーン〜


(最初からお読みになりたい方はこちら→【ラブ・フォーティ 第1話】 )

第199話より続く

 晴美がちょっと顔をしかめ、声をひそめて言った。
「あなた。ここは病院なのよ。あんまり笑うと不謹慎よ」
「そりゃ、そうだ」新田は声を落として言った。「ところで、1日だけ入院というのは、何か意味あるのか?」
「あした、MRI検査というのをして精密に確認するんですって。で、いまわかっている以外に異常がなければ、そのまま松葉杖で退院ですって」
「そうか。大したことなくてよかった。しかし、それにしては、気を失って救急車で運ばれるなんて、情けない話だな」
 新田はきまり悪そうに言った。

 晴美が、新田の思いをたしなめるように首を振った。
「そんなことないわよ。最後にバックハンドでリターンしたあと、あなた、ものすごい勢いで倒れこんだでしょ。どうも、あのとき、かなりひどい脳震とうを起こしていたようなの。それを気力だけで立ち上がって、なおかつ歩いて、プレイを続行しようとしたみたい。そして、ついには事切れるように、気を失って倒れてしまった、ということなの。いまとなってみれば、あれはなかなか劇的なシーンだったんじゃないかしら」
「じゃあ、名誉の戦死ってところだな」新田は茶化すように鼻で笑ってから、真顔に戻って聞いた。「ところで……、テニスのほうは、いつから再開できるんだろう?」

「きょうの検査では、全治2週間のケガですって。だから、2週間後にまた検査して、何も問題がなければ、すぐにでもコートに出られるようになるはず。この……左足内側側副じん帯のケガとしては、あなたのはとても軽傷だったらしいの。“不幸中の幸いだ”ってお医者さまが言ってたわ。じん帯が切れていたりすると、ものすごく厄介で、治るまでに2カ月、3カ月って、延々とかかるんですって」
「全治3カ月……か。そうならなくて、本当によかった」
 新田は、先ほどの夢が逆夢(さかゆめ)だったと素直に喜ぼうと思った。が、そう思えば思うほど、自分があの夢をひどく気にしていることを知るのだった。

 新田は話題を変えることにした。
「ところで、春日杯のほうはどうなったんだ?」
 新田の質問で、晴美は思い出した。
「あ、そうそう。外で藤永さんという方が待ってるの。会社の方でしょ? ちょっと呼んでくる」

続き(第201話)を読む

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この記事へのコメント
どきどきの試合もひとだんらく。
ケガも2週間程度と聞き、ホッ。
いつの間にか新田さんが
しんせきのおじさんみたいな身近さ!?
Posted by hi-yo(ハイヨ) at 2005年12月20日 18:33
●●●hi-yo(ハイヨ)さんへ●●●
>いつの間にか新田さんが、しんせきのおじさんみたいな身近さ!?
200話目ということは、もう7カ月近くも会ってるんですものね(笑)。
Posted by オヤジライター加久時丸 at 2005年12月21日 08:11
第200話より続く

と書いてあるのに今日気付き
おおーっ!と思ってたところです。
7カ月ですか!おおおっーーー!です。
おつかれさまです!
でも終わらないで!!笑
Posted by hi-yo(ハイヨ) at 2005年12月21日 23:57
●●●hi-yo(ハイヨ)さんへ●●●
>7カ月ですか!おおおっーーー!です。
本当に「おおおっーーー!」ですよね(笑)。
>でも終わらないで!!笑
そう言ってくださるのが、何より嬉しいです!
ありがとうございます!
Posted by オヤジライター加久時丸 at 2005年12月22日 08:22