2005年12月24日

ラブ・フォーティ 第204話 〜ジュース〜


(最初からお読みになりたい方はこちら→【ラブ・フォーティ 第1話】 )

第203話より続く

 新田の顔が改まった。
「試合のこと、タツエさんは何か言ってたか?」
「言ってたわよ。“さすが、わが弟子だ”って」晴美が新田に顔を近づけてニッと笑った「“さすが、わが弟子だ”ってことは……、破門が解けたのかもね」
「おい、本当か?」
「さあ、実際のところは私にもわからない。そのうち電話でもしてみることね」
「そう意地の悪いこと言うなよ」
「意地が悪いんじゃなくて、本当に知らないの。そのことについては、タツエさん何も言わないんだもの」
「そうか……」
 新田は、やや浮かせていた頭をストンと枕に沈めた。

 晴美は、買ってきた缶ジュースを開け、新田の口もとへ持っていった。新田はふたたび顔を起こして、ひと口飲んだ。
 晴美が思い出し笑いをした。
「そうそう、タツエさんたら“きょうは店を休むんだ”って言って、張りきっていたわ」
「なんだ、それ? 店を絶対に休まない人が、店を休んだんじゃあ、張りきるも何もないじゃないか」
「私がね、理沙のことをお願いしたら、タツエさん喜んで引き受けてくださったのよ。だって、ここに理沙を待たせておいても、いつあなたが目を覚ますかわからないし。それに、お医者さんがもう心配ないって言ってくださったから、理沙もホッとして疲れが出ちゃったみたいなの。そしたら、タツエさんが、理沙の面倒を見てもいいって言ってくださるし、理沙のほうも、不思議とタツエさんにはなついてるみたいだし。それで、ふたりで先に帰るということにしたの。いまごろ、タツエさんが腕によりをかけてご馳走をつくってくれているはずよ」

「おいおい、そんなに迷惑かけていいのかい?」
「いいの、いいの。孫の世話をするようなもんだもの。それを嫌がるお婆ちゃんなんて、いないでしょ?」
「“孫”はないだろう。タツエさんを“お婆ちゃん”にしちゃあ失礼だよ」
「あら、そうかしら。タツエさん、61歳よ。孫がいても、けっしておかしくない年齢よ」
「……なるほど」
 言われてみると確かにそのとおりだ。40代にさえ見える風貌なだけに、いままで考えてもみなかったけれど、タツエさんは“お婆ちゃん”になっていてもいい歳なのか。ずいぶん威勢のいいお婆ちゃんだな、と新田は心の中で苦笑した。

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この記事へのコメント
どうもー

遊びに来ました!そして、ワンクリしましたー。

続きを楽しみにしていますねー。

では。

オーレ 松尾
Posted by オーレ 松尾 at 2005年12月24日 11:36
●●●オーレ 松尾さんへ●●●
>遊びに来ました!そして、ワンクリしましたー。
こんにちは!
ワンクリ、ありがとうございまーす!
>続きを楽しみにしていますねー。
ぜひぜひ!
Posted by オヤジライター加久時丸 at 2005年12月24日 15:22